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ピアノが二台

普段はグランドピアノが1台、そして場所によってはそれに加えて電子ピアノが1台、という環境の部屋でレッスンしています。

その中で土曜日に借りているスタジオだけは、ひとつだけ二台ピアノを練習するための部屋があり、そこはグランドピアノが二台横並びで置いてあります。

ちなみに私は二台ピアノは向かい合う弾き方が好きですが、 横並びの方がお好きな方もいらっしゃるでしょう。

私が二台ピアノレッスン、生徒さん二人組でのレッスンをするときには、そのスタジオではわざわざ向かい合わせになるようにピアノを動かしていただきます。


ですが実は、そのグランドが二台横並びになっている環境、生徒さん一人だけの一番よくある普通のレッスンにとって、最高のレッスン室なのです。

生徒さんが奥の方のピアノに座って、先生が手前の方のピアノに座る。

つまり生徒さんから見ると右側のもう一台のピアノに先生が同じ方向を向いて並んで座っている。

これが理想のレッスン室だと、私は思います。


ピアノのレッスンというのは「ここのところはこういうふうに体を動かして」「こういう指の運びで」「こんな音色で」「こんな呼吸で」「ペダルはこんなふうに」などと実践して見せたい、聴かせたいということがとても多いのです。

実践してみせるということは、本当に効き目があるのですが、それを1台しかピアノのない一般的な当たり前なお部屋でやるには、「ちょっとどいてね」と言って生徒さんに立っていただいて、 そして私が生徒さんの座っていた椅子に座ります。

そうするしかないですよね。

立っていただいてまでやるほどではないという時には、生徒さんはそのままで、私が右や左の違う高さの音で立ったまま実践します。

「こんなふうに」と目の前で指の運びを見せるということを、その楽譜どおりの正しい音ではない1オクターブ2オクターブ高い音の鍵盤や低い音の鍵盤で。

世の中のピアノの先生はほとんどそのようにしていらっしゃると思います。

グランドピアノが二台横並びで置いてあるという恵まれた環境のピアノ教室は、一般的にはとても少ないです。


その二台の部屋があるスタジオで時折そのようなレッスンをしてみると、やはりとても良い手応えがあります。

「そこはそうじゃなくて、こういうふうに」「ペダルを踏むのに足はこのように」。

私がやった直後に、「今のとおりにやってみてください」。

「うん、そうではなくて、もっとこう」と、また私がやって。

交互に弾くのにその都度場所を交換しなくても、次々と話を展開していけるのです。

そういう部屋でレッスンする効果ということを、しみじみ感じます。


その環境では、私も生徒さんにただのちょっとした音楽のお話をするにも、気軽にどんどん弾いてみせますので、話の内容が具体性を持ち、より興味深く感じていただけるようです。



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