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グランドピアノで基礎練習を

今の日本で趣味でピアノを習う方のかなり多くの方が、家では電子ピアノで練習し、演奏会の舞台ではグランドピアノを弾きます。


ヴォアクレールのレッスンでは、楽器が何であろうと「音楽を楽しむ」ことは十分にできるというのが私の考え方です。

プロのピアニストやピアノの先生になりたい方は別として、趣味の方は、例えば、家での電子ピアノやキーボードでしか出来ない楽しみ方も教えてさしあげたいです。

ヴォアクレールのレッスンでは、グランドかアップライトどちらかのアコースティックピアノがある環境で、場所によっては電子ピアノもあります。

そして、ヴォアクレール主催イベントの舞台では、グランドピアノ希望がやはり一番多いです。


グランドピアノでなくてはピアノのレッスンは出来ない、それ以外の楽器でやるレッスンは邪道だとか、そういうことをおっしゃる先生がいまだに年配の方でいらっしゃるようですが、今はそんな時代ではありません。

その時々その場所によって、ご自宅では、レッスンでは、舞台では、というふうに、それぞれどういう楽しみ方ができるのかということですね。


そのような環境で普段習っていて、この秋のラフェット2024の舞台では、皆さん立派なステージ用のグランドピアノを弾かれるわけです。

このために、本番までどのように過ごしてゆくかとを考える必要があります。

最終的な本番での演奏が、グランドピアノという楽器を使って自分が作り上げてきた自分の音楽を奏でることができる、ということが大切な目標です。


そこに辿り着くために、普段からグランドピアノを弾く必要があります。

レッスンではいつでもグランドかアップライトどちらかのアコースティックピアノを使えるのですが、レッスンとレッスンの間の一週間の自主練習でも弾いてほしいです。

今は巷にたくさんグランドを弾ける貸しスタジオがあるので、生徒さんは、自分の通勤圏内または自宅の近くにあるグランドピアノが借りられるスタジオを見つけているようです。


では、いつ頃の時期にそこに通うべきか。

一番多い勘違いで、譜読みや基礎練習の段階ではなく最後の仕上げの時期に、行くべきだと思っている方が多いのです。

基礎練習の時期はそんなにそういうところに通わなくても自宅の電子ピアノやキーボードでいいだろう、仕上げの段階になって本番が近づいてきたら、グランドピアノをたくさん借りて通うようにしよう。

これは実は逆なのです。


クラシックピアノの音楽というのは、どんな音色で奏でるかということが一番大切なことです。

自分の指がどんなふうにその鍵盤に触ったら理想の音色が出るのか。

曲によっても、曲の中の場面によっても違います。

この曲のこの場面のこのメロディを奏でるには、こんな音色がイイ、という理想の音が頭の中に持ちましょう。

そして、その音が出せるようになるには、自分の体や指をどういうふうにしてピアノをタッチしたらどういう音が出るのかということを体感し、自分を作っていかなければなりません。


その「音色を作り上げる段階」というのは、仕上げの時期ではなく、もっと前の一生懸命練習をしている時期です。

譜読み、練習、仕上げと本番に向けて三段階に分けたとして、その一番長い期間を占める練習という時期の、それも初期の頃。

音色を作っていく自分の指で、この時期に一番グランドに触ってほしいです。


理想を言えばさらに遡って基礎練習。

音階練習や、ハノンという指の基礎訓練を、グランドピアノでやると良いのです。

指や自分の体がグランドピアノと仲良くなれるのです。


音色を作ろうとする時には実はあまり頭を使ってほしくありません。

特に本番では、頭を空っぽにして無意識で、感性だけで流れで弾いてほしいです。

自分の呼吸が体が指がこういうふうになるとこういう音が出る、という無意識での直結になるのが理想です。

そうなるには、そういう自分を育てていかなければならない。


貸しスタジオのグランドには、演奏会直前だけに行ってもあまり意味がないですね。

本当は一時間なりグランドピアノを予約して借りたら、そこでは基礎練習ばかりずっとやってほしいなと思ってしまうくらいです。

せっかく借りたら皆さんどうしても曲を弾いてしまうとは思いますが、基礎練習をやればやるほどグランドピアノという楽器と自分が仲良くなれる。

「こういうふうに体が動くと、こういう呼吸をすると、こういうふうに触ると、こういう音が出る」が、無意識にできるようになります。



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