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聴くことが演奏を育てる

レッスンをしていて、普段の生活で良い音楽を聴いてほしいなぁと思うことがよくあります。

演奏会が近づき、お客様の心に触れる演奏になりたいと願う気持ちが生徒の皆さんの中で高まるにつれて、しみじみ思います。




もっとはっきり言うと、音楽の音の持つ深いところを、心と呼吸と体の組織で感じ取る力を育ててほしい、ということ。


なぜその感じる力を身につけてほしいかというと、自分が演奏者の側になった時にその力がイコール表現力になるからです。




そのためにできることはたくさんありますが、一番簡単ですぐにできるのは、普段の生活で頻繁に、心から集中してクオリティの高い演奏に聴き入る。

集中できない時のBGMも、質の良い演奏にする。




聴く人に影響を与える、心に触れる音を出す、そのような演奏をすることができるのは、自分が聴き手の時に、聴こえてくる演奏にすぐに深く反応できる人です。


思いがけず素晴らしい演奏が聴こえてきた時に、歩みが止まり手が止まり、知らず知らずのうちに聴き入って心が震える。


そんな人は、演奏もきっと上手くなります。

それだけの無意識の感性があれば、自分の出す音の色や波にこだわることができるから。

理想の演奏を追い求めて自分を育ててゆけるからです。





テレビが生活のBGMという方がとても多いと思います。

テレビから聴こえて来る音楽は、本当に玉石混合で、素晴らしい演奏からむしろ聴かない方が感性の健康のために良いと思われる音楽まで、実にさまざまです。


プレゼントのように不意に、驚くほど素晴らしい音楽が効果的に使われていて、嬉しくなることももちろん頻繁にあるでしょう。


反対に、最近聴いた例では、元の演奏が良いのに「音でさえあればなんでもよい」のかと言いたくなるような雑な使い方をしていたものがありました。

他にも、せっかくとても良い音楽なのにとんでもないところからスタートしたりとんでもないところで千切るようにストップしたりということもありました。

テレビ界の人々は人の心と目と耳に何かを与えるというお仕事なはずなのに、音楽と人間の関係についてを何も考えたことがないのかというようなスタッフがいるということですね。


ですから例えば、観ない番組の時間にだけはテレビを消して、クオリティの高い良い演奏をたくさんいろいろ聴く、というのはいかがでしょうか。




こういう書き方ですと、クラシック音楽ばかりを想像しがちですが、そうとも限りません。

クラシック音楽(この分け方は相変わらず私は苦手ですが、、)は楽器の音質と音楽の構造上、感じる力を育てるには一番の効果があります。


ですが目的は「自分の奏でたい音楽に良い影響をもたらすもの」ということですから、その「奏でたい音楽」と同じジャンルを中心とし、その他にも自分の好きなジャンルに広げてゆくと良いのではないでしょうか。


そしてプラス、他の種類のいろいろな時代のものに耳を広げることも、オススメです。

感じ取る心の視野が広がるのはとても幸せなことですから。




音楽を聴くことに集中する時間が、たとえ数分でも毎日ある。

自分の特に好きなジャンルがいくつかある、音楽家がいる。

そしてその他にも「お!?」と感じた音楽はとりあえず聴いてみる。

それらの音楽のコンサートに行く、音源を入手する、楽譜を見てみるということを積極的に、自分の楽しみとする。


このような生徒さんが、私のレッスンや講座に何人かいらっしゃいます。

その方々は、レッスンの話が通じやすい、反応が良い、上達が早い(こともある)、そして何よりその人の特徴といえる「上手いところ」を持っています。




ちなみに私は音楽家としての自分を育てたいのでありとあらゆる種類の音楽を聴いていたら、本当にたくさんの「好きな音楽」ができました。

クラシックと民族音楽はもちろんのこと、私がソウルとロックとポップスが大好きなことは知る人ぞ知る。

もっと意外だと思われてしまうジャンルにも、好きな作品がいくつかあります。




この「無意識に音を感じ取る力=音楽を体現する力」を育てるために、ダルクローズ・リトミックがあるのですから、せっかく私の専門分野なので、レッスンにもっとたくさん、でもさりげなく、取り入れてゆこうと思います。


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